タクシーに乗っている時、ドライバーが無線でよくわからない言葉を喋っているところを目にしたことがある人もいるかもしれません。
様々な業界に「業界用語」と呼ばれる物があるように、タクシー業界にも業界用語がたくさん存在します。お客様に話している内容がばれないようにしてあるので、初めてタクシー業界に入る人も、戸惑うことばかりなのではないでしょうか。
今回は、そんな数あるタクシー業界用語の中から特に面白いもの、よく使うものをピックアップしてご紹介したいと思います。
タクシードライバー用語8選
1.「お化け」心霊現象ではない、嬉しいお化け
「今日は最後のお客さんがお化けでさぁ」という会話が、タクシー運転手同士ではよく行われています。
一見恐ろしいこの一言ですが、心霊現象ではありません。実はこれはタクシードライバーにとってとても嬉しいこと。意外な場所や時間帯に長距離利用するお客さんのことを「お化け」と呼ぶのです。
一度の送迎で効率的に稼げるというのは、ノルマ達成や稼ぎの点で大変有難いことです。
2.「ゾンビ」夜の駅でチャンス到来!
「ゾンビ」というのもあります。夜間、イベントの後やタクシーが全て出払っている時、タクシーを捕まえるために駅前で大勢の人が手を挙げていることがありますよね。タクシードライバーから見たら、その様子が襲ってくるゾンビに見えることからゾンビと言うそうです。
これはタクシードライバーにとってチャンス到来。お客さんには困りませんし、早くお客さんを乗降させることができれば、それだけ多く稼ぐことができます。
3.「行灯」タクシーの上に乗っかっているアレ
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タクシーの上に乗っている、タクシー会社を示す広告灯。これを行灯と言うのはご存知でしょうか。タクシー会社、地域によってデザインが違っており、個性的なものや珍しいものまで様々な種類があります。
お客さんが乗っていない時は点灯しており、実車時は消灯していることが多いです。また、点滅時は社内で何が危険や問題が起こった時のSOSのサインとしても使われます。
遠くからも認識しやすいように、個性的なデザインのものも多く、見比べてみるのも面白いです。
4.「籠抜け」迷惑千万!タダ乗り犯は逃がすな!
無賃乗車をする人のことを、「籠抜け」と言います。ベテランドライバーは「薩摩守(さつまのかみ)」ともいうそうです。平忠度(たいらのただのり)が薩摩守であったことから、「ただのり」に掛けた言い回しです。
マンションの前まで行き、「お金を取ってくるので待っていて」と言って逃げるなどの手口があります。免許書や手回品を一時的に預かるなどの対処が取られていますが、それも置いて逃げることは「置き抜け」と呼びます。どちらも詐欺罪に問われる犯罪です。
5.「天ぷら」4人まとめて車にあげるから?
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タクシーは1回に4人まで乗ることができますが、その4人が1000円以内の近距離で同時に降りてしまうことを天ぷらと言います。一回の乗車で4人が同じ場所で降りる場合と、別々の場所で降りる場合がありますが、大半が近距離で同じ場所で降りるケースです。
つまり、「天ぷら」はあまり良い意味ではありません。せっかくお客さんを乗せたのに、近距離の利用だとあまり収益になりませんからね。ただ、その方が効率が良いと考えるドライバーの方もいるようで、タクシー業界でも賛否両論です。
6.「20」ちょっと危なくたって大事なお客様
暴力団(ヤクザ)のお客さんのことを指します。
893(ヤクザ)= 8 + 9 + 3 = 20 ということですね。ちょっと危険そうなお客様でもヤクザ呼ばわりすることはできませんから、その点よくできています。
とはいえ、お客様を見かけで判断してはいけません。万が一何かあるまでは、いつも通り感じよく接客することが大切です。
7.「新婚さん」ちょっぴり残念なお客様
ワンメーターしか乗らない超短距離利用のお客さんのことを新婚さんと言います。たいした売り上げも見込めないでしょうから、お金がない=新婚さん、ということなのでしょうか。真相は不明です。
8.「ワカメ」だじゃれも多いタクシー業界用語
ワカメは海藻。つまり、回送タクシーのことをワカメと言います。駄洒落のようなものですね。
また、ゆらゆらと揺れていることから、酔っ払っているお客さんのことをワカメと呼ぶこともあるそうです。面白い呼び方ですが、もし酔っ払っている時にそう呼ばれていたら、あまり良い気はしませんね。
ドライバー同士の連携に業界用語は必須!
何気なく利用しているタクシーにも、業界という世界があり、共通の言語があると思うと面白いですね。
タクシー業界用語は、数えるだけでも100はゆうに越しています。それがきちんと通じるということは、タクシードライバーの仕事はたんに単独の業務ではなく、ドライバー同士の結びつきが大切だということが分かりました。