突然ですが、「足切り」という言葉を知っているでしょうか?これは、タクシー業界での専門用語で、馴染みのある言い方に要約すると「ノルマ」と同じ意味になります。
一般的な企業の営業職には、売上ノルマを課せられ、その売上に応じて給料がUPする「歩合制」になっていると思いますが、タクシー業界にも同じようなノルマが存在し、なおかつ一般企業と比べて「歩合率」が高い仕組みになっているのです。
そこで今回は、タクシードライバーを目指すならば知っておきたい、一般企業の歩合制とは少し違う「足切り」と「歩合率」について説明していきます。
タクシー業界のノルマについて
それでは、タクシー業界の「足切り制度」とはどういった仕組みになっているかを見ていきましょう。
まずは、ご存じの通りタクシーはお客様を乗せることで売上が発生しますよね?その売上金額が会社の目標金額に到達し、そのノルマラインを超えた後の売上から「歩合制」が発生します。それによって、給料が上がっていくという仕組みになっているのです。
また、「足切り」が達成しなくても給料0ということはないので安心して下さい。しかし、最低限の固定給は支給されますが、「歩合制」を発生させない限り給料の大幅UPは見込めませんので注意しましょう。
ちなみに、全てのタクシー会社が「足切り制度」を導入しているかと言うと、実際そうではありません。導入していても、会社によって「足切り」と「歩合率」は異なるので、ノルマラインが高いと、タクシードライバーの精神的なプレッシャーは大きくなります。
実際に、「足切り」に少しだけ届かない時などは、空車でもメーターを入れ、自己負担してでも達成する人は少なからずいるようです。
「足切り制度」がない場合は、「歩合率」が低いため、売上を伸ばしても給料に反映されにくいことがあります。したがって、タクシー会社に入る際は「足切り制度」の有無を確かめてからの入社をオススメします。
給与体系は具体的にどう考えればいいの?
何となくタクシー業界の給与システムはお分かり頂けたでしょうか?でも、「具体的な数字で見てみないと・・・」と、不安な方もいるかもしれません。そこで、実際に給与体系を計算式にして表してみることにしましょう。
まず、タクシードライバーの賃金額は次の計算式で表します。
【賃金額=固定給+(月間営収学-足切額)×歩合率】
仮に歩合給として、「足切り50万」「歩合率60%」と設定し、ノルマを5万上回った状況で計算していきましょう。
115,000(固定給)+(550,000(月間営収額)-500,000(足切額))×60%(歩合率)=145,000(賃金額)
このように、目標である「足切額」を超えた5万円に「歩合率」をかけた金額が、「歩合給」として給料に加算されます。さらに、この賃金額に皆勤手当や無事故手当など、諸々の手当が含まれますので20万円以上、会社によっては30万円以上になる計算になります。
しかし、固定給の場合に欠勤や事故があった時には、経営側はその手当を不支給にすることができるので、注意して日々取り組みましょう。
営業方法と頑張り次第でいくらでも給料は上がる
上記の計算のように、「足切額」を超えて「歩合制」を発生させれば、頑張り次第でいくらでも収入を伸ばすことができます。これで給料面は安心ですし、真面目に営業しているタクシードライバーで「足切り」の達成をしない人は滅多にいないので、タクシー業界ほど安定した仕事はないのです。
ところで、「足切り」を達成するために熟年のタクシードライバーが日々実践している営業方法が3つあるのをご存じでしょうか?それを覚えておくだけでも売上が変わってくるので、タクシードライバーとして営業に出る前に確認しておきましょう。
①付け待ち:タクシー乗り場や駅前などで待つ方法
(特に、週末で終電がなくなった時間帯や、雨の日などに役立つ方法です)
②流し:運転しながらお客様を見つける方法
(停車していてもお客様が見つからない場合は、常に動きながら探っていきましょう)
③配車:タクシー会社から無線で配車依頼が来る方法
(タクシー会社によって無線数が変わってくるので、ここは会社次第ということになります)
以上の3つになります。一見簡単な方法に見えるかもしれませんが、タクシードライバーになるならば、しっかり念頭に置いておくことをオススメします。
まとめ
その会社の「足切り」と「歩合率」、そして自分の頑張りによって“給料の伸び幅は無限大”。この仕組みを知っただけで、これからタクシードライバーになる方の意気込みも増幅したのではないでしょうか?
タクシー業界は、60歳、70歳になっても若い人と同じように働ける環境であることが魅力の一つでもあります。長期的に安定しているという意味でも、タクシードライバーはうってつけの仕事なのです。